海の日は伊豆 2012 宿決定

今年も海の日の連休は伊豆下田の外浦海岸です。宿は去年と同じ伊鈴荘。

海の日の連休

(宿泊日) (人数) (参加者)
2012/7/14 (土) 大人4人 (K, A, M, S)
2012/7/15 (日) 大人3人 (K, A, M)
2012/7/16 (海の日) (発)

料金: 10,500(円/泊)

バス付きの10畳の部屋らしいので、多少人数が増えても大丈夫ですね。15日はその部屋しか開いていないようでした。

(昨年) ☞ 海の日は伊豆2011 宿決定

(2012/6/21) (2012/6/27 修正)

Canon EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM レンズの絞りユニット応急修理

前回、Canon EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM レンズを分解してみる では絞りユニットのフレキシブル基板(ポリイミドのケーブル)が切れかけていることを確認しました。

EF-S18-55mm II USM の基板面、フレキシブル基板コネクタ配置

写真は分解中なのですべてのフレキシブル ケーブルが外してありますが、絞りユニットにつながるフレキだけを外しておけば、設定上での絞り「開放」扱いで Err 99 にならずに撮影できます。分解して絞りユニットを取り出し、絞りの位置を好みの位置にしておけば、常にその絞りになります。Exif は実際の値ではなく開放で記録されます。

それではおもしろくないので、フレキをバイパスして繋いでみました。

前回の分解では前玉と、後玉・絞りユニットとを組み立てるときの位置がわからなくて苦労したので、確認しながら分離しました。

絞りユニット取り出し時の焦点距離。EF-S 18-55mm II USM

焦点距離35mm付近で分離すると自然です。自重で一番短くなっているということではないかと思われます。

分離の目印。EF-S 18-55mm II USM

写真の中央右側、縦の溝(凹)に凸にはまっているところがあります。組立時はこれを組み合わせます。円周上に3カ所です。これはその3カ所のうち、前回「ストッパー」と称していた棒状の部品がネジ2個で固定される場所の近くです(凹凸の右の正方形に近い空間)。

分離の目印。EF-S 18-55mm II USM 分離前の目印。EF-S 18-55mm II USM 分離の目印。EF-S 18-55mm II USM

写真左上から中央に斜めに走る溝の先に穴が開いています。ここが 55mm のときに鏡筒側面に現れるネジとカラーの位置です。3カ所。

分離の目印。EF-S 18-55mm II USM

分離の目印。EF-S 18-55mm II USM 分離の目印。EF-S 18-55mm II USM

組立上は同じ位置でも、焦点距離のリングやフォーカスのリングを左右に回すと違う位置になります。上の3つとその上の1つの写真は同じところですが、リングを左右に回しています。鏡筒の長さがふわっと変わる感触を手で憶えておきます。その範囲を超えて回すと、すかすかに回る位置が存在していて、その位置では組立できません。

中程の縦のシャフトはオートフォーカスの超音波モータから駆動される軸で、ピニオンギヤを回転してラックを移動、フォーカスリングの回転になります。そのときのフォーカス位置を写真右のブラシでエンコード、フレキで基板につながります。

後玉と絞りユニット。EF-S 18-55mm II USM

後玉と絞りユニットを上に引き抜くと前玉から外れます。写真の中央上はAF/MF 切り替えスイッチの金具で、その反対側に絞りユニットのフレキが位置しています。

後玉と絞りユニット。EF-S 18-55mm II USM

絞りユニットと後玉を上に持ち上げると抜けます。(と書いていて、ひとつ上の写真のように分解しなくてもよかったのかな?と思えてきました。どんな構造だったかな……)

右下のコの字の溝に、前回ストッパーと書いていた棒がはまって回転します。フォーカスと思われます。

絞りは写真の下面にあります。フレキが切れかけているのがわかります。フレキの根本を見ようと絞りユニットのネジを外しましたが、一部がハンダ付け、残りは更に奥へと続いていました。フレキが切れたら絞りユニットごと交換する構造です。絞りユニットのフタのネジはネジ止め剤でロックしてあったので、ばらしてはいけないところだったのでしょう。手持ちのまますぐにネジを締めましたが、軸がずれたかもしれません。ということで、写真はありません。

どうしたものかと考えていましたが…

を読んだらできそうな気がしてきました。

絞りユニットの切れかけたフレキのパターンを露出、予備ハンダ。EF-S 18-55mm II USM 絞りユニットの切れかけたフレキのパターンを露出、予備ハンダ。EF-S 18-55mm II USM

フレキはポリイミドの基板に銅箔のパターンが載り、その上に絶縁のコートがしてあります。銅箔を露出させればハンダ付けできるということだったので、デザインナイフの先端でがりがりこすってみました。慎重にやっていたら、銅の表面が現れ、ハンダ付けできそうなほどの面積になりました。予備ハンダしたらハンダがきれいに載ったので、これなら細い電線をパターンにハンダ付けできそうだという感触を得ました。

ショートしないように位置をずらしながらパターン3本分、ちぎれた前後の2カ所ずつ、計6ヶ所を露出させました。無計画にやったので位置がめちゃくちゃですが、もし次があるなら、ケーブルの長さに合わせて位置決めします。また、絞りユニットから遠い側の金具の手前は、レンズの長さに合わせて可撓、屈曲します。それを無視してしまったのは失敗でした(後述)。

絞りユニットのフレキを板に仮止め。EF-S 18-55mm II USM  絞りユニットのフレキをワイヤーでバイパスしてハンダ付け。EF-S 18-55mm II USM絞りユニットのフレキを板に仮止め。EF-S 18-55mm II USM  ラッピングワイヤー AWG 28

かまぼこの板に仮止めして、ワイヤーをハンダ付けしました。φ 0.32 mm、AWG 28 のラッピングワイヤーがあったので使いましたが、これでも太くて大変でした。フレキのパターンが細くて見えないので、近眼用のメガネを外し、保護メガネをかけて目を近づけてやっと見える程度。拡大鏡(顕微鏡)で見ながら作業する大きさですね。

ピンぼけしているのでわかりにくいですが、ハンダ付けはお恥ずかしい状態です。ワイヤーにはコイルの細い線をほどいて使うのが入手容易だそうです。壊れかけのダイナミック イヤホンでもあればよかったんですが。自分でコイルを巻く人なら細いワイヤーを持っているんでしょうね。

フレキにバイパスのワイヤーハンダ付け、アセテート粘着テープを巻く。EF-S 18-55mm II USMアセテート粘着テープでフレキを固定。EF-S 18-55mm II USMアセテート粘着テープ

ハンダ付けしたところはアセテート粘着テープでくるみました。さらにそれを絞りユニットに貼り付けました。(2番目の写真は、くるむ必要を感じる前に直接貼り付けたもの)

このあたりになってくると、疲れてきて手抜きのオンパレードです。

応急修理した絞りユニットのフレキを組み付け。EF-S 18-55mm II USM 応急修理した絞りユニットのフレキを組み付け。EF-S 18-55mm II USM 応急修理した EF-S 18-55mm II USM

応急修理したフレキシブル ケーブルを鏡筒に組み付けました。焦点距離 24 mm以下になると、ハンダ付けしたところが屈曲部になってしまいました。もっと根本のほうでハンダ付けすべきでしたが、あとの祭り。24 mm 以下の広角側でも力を込めて回すと使えるのですが、ハンダ付けのところに無理なストレスがかかるので、一応、ぱっと見でわかるように目印のテープを貼り付けてあります。24 mm より望遠側は比較的機械的なストレスが少なそうです。

組み直してカメラに取り付け、絞りをいろいろな設定にしましたが、Err 99 も出ず、動作としては正常に撮影できています。かなり無理な応急修理なので動かなくなる日も近いでしょうが、代替レンズを入手するまでは使えそうです。

分解・組立中にレンズを触ってしまったりゴミがついたりしたので、デジタル一眼の撮像素子(ローパスフィルタ)の掃除 のような用具でレンズを拭いて組み立てました。光軸が多少ずれているかもしれませんが、内部構造のガタを考えると許容範囲ではないかと期待しています。光学性能が元通りになったかどうかは未確認です。

以上、自分用の備忘録でした。(このメモ書きをご覧になって何が起ころうと、私は関知しませんのであしからず。まねするかたもいないでしょうが、念のため)

(2012/6/17)

デジタル一眼の撮像素子(ローパスフィルタ)の掃除

ブックマークです。

キヤノンでは湿式ではなく乾式のペッタン棒が推奨のようです。エタノールを使って、手持ちの EOS Kiss Digital N で壊すつもりでやってみましたが、とりあえずはうまくいったようです。機種によっては(フッ素)コーティングがはがれるという話もありますが、未確認です。

ニコン印のシルボン紙は安くて使いやすいですね。私は ヨドバシ.com で買ってしまいましたが、ダスパーという紙らしいです。

同じく、ブロアーの銘柄は

ハンドラップの銘柄は

だそうですが、写真だけだと、

と同じように見えますね。

(2012/6/16)

(追記)

(2015/1/16)

(追記)

ニコンのクリーニング キットで、ブロアーとクリーニング クロスの銘柄が変更になるそうです。

(2015/2/10)

Canon EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM レンズを分解してみる

 

レンズ前面 EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

Canon EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM レンズは EOS Kiss Digital N の標準ズームレンズですが、Err 99 で撮影できなくなってしまいました。絞りユニットがおかしいようで、絞りが絞られたままで開放に戻らない状態です。マニュアルで絞りを「開放」設定にすると、絞られた明るさで撮影自体は可能です。修理に出すより、後継の手ぶれ補正レンズを中古で買ったほうが安くなりそうな料金なので、壊すつもりで中を開けてみることにしました。

以下、再度開けるときのための自分用のメモ写真群です。概ね実際にばらした順番になっているので、分解・組立するのに適切な順番ではありません。

側面ラバー EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM 側面ネジ(1) EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM 側面ネジ(2) EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM 側面ネジ(3) EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

ラバーは爪で隙間が作れますが、耳かきを使うといいそうです。ラバーの輪を取り去った下に、常時見えるスリットのネジが3カ所、レンズの位置によって見えるネジが3カ所、そのほかに、小さな間隔で並んだ2つのネジがあります。

接点のネジ2つ。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM マウント部のネジ4つ。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM マウント部のネジを外した。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

マウント部には、電気接点の横に小さな2つのネジと、不均等な間隔の4つのネジとで、合計6つのネジがあります。

マウント部とリングを外して基板を露出。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

マウント部と基板の間には、黒くて薄い輪が入っています。裏表があって見た目(質感)が多少異なります。たくさん穴が開いていますが、うまくネジと合う組み合わせは一つになっているようです。

フレキをコネクタから外した。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM 基板のネジを外した。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

ポリイミドの茶色いフレキ(フレキシブル配線基板、FPC)がコネクターに刺さっているので、コネクタの爪を後ろにひいて抜きます。緑のプリント基板は銀色の小さなネジ2つでとまっています。

基板の裏面。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM 基板を外した。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

基板の裏のパターンが、レンズ本体のブラシと合わさるエンコーダになっています。見たところ、ズームの焦点距離のエンコーダです。

側面ネジ (4)、無表示部。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM 側面ネジ (6)、無表示部。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

鏡筒側面、カメラへの取付時は下部になるので、目印になる表示がないところ(無表示部)。ペンでマーキングがしてあって、写真左下のネジは白いプラスチックのカラーで位置決めされていました。右上は黄銅のカラー(スリットとの摺動部)ととめネジです。

側面ネジ (5) Ultrasonic表示・2連ネジ部。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM 側面ネジ (7)、Ultrasonic表示・2連ネジ部。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

ULTRASONIC 表示のところ。2つ並んだのネジがあります。左下のネジは黒いカラーで、偏芯していました。位置合わせをしているようです(もしかして光軸あわせ?)。

側面ネジ (8)、Canon表示部。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

Canon 表示、EF-S マウントの白い位置合わせ表示の側面。左下のネジのところは同じく黒いカラーで偏芯していますが、ULTRASONIC 表示のところとは違う偏芯位置になっていました。

無表示部の白カラーを外した。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM 側面の無表示部のカラーを外した。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

写真は、スリットの黄銅のカラーのネジと、「無表示部」の白いカラー(巨大なワッシャー)のネジとを外した様子。白と黒のカラーは、ネジを緩める前に、偏芯の様子をメモしておいたほうが無難です(ただの杞憂であればラッキーですが、今回ばらしたユニット間では、他に光軸の調整をしていそうな場所は見当たりませんでした)。

フレキの固定金具。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM フレキの固定金具のネジを外した。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

絞りユニットにつながるフレキのネジ。

AFの超音波モータ。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM 超音波モータ部の両端のネジを外した。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM 超音波モータ(USM)ユニット。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

オートフォーカス(AF)の超音波モータ(USM)ユニットは両端のネジ2つを外せば取り外せます。AF/MF切り替えスイッチはMF側。フォーカスのリングとは、USM側シャフト(3番目の写真、USMユニットの左端)と、リング側シャフトが突き合わせになっていて、動力を伝達しています。

フレキの接着部。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

フレキの接着部。右に凸なところが、粘着剤(両面テープ?)でくっついています。はがさないとユニットが分離できません。このフレキは写真の通り、すぐ下のAFのエンコーダのブラシへとつながっています。なお、写真上、右側の下を向いた櫛形のところが USM の AF/MF 切り替えスイッチで、真ん中の小さな四角のところに USM からの切り替えピンがはまります。

ストッパー上部のエンコーダ・ブラシ。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM ストッパー上部のエンコーダ・ブラシを外した。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

基板裏の(焦点距離)エンコーダ・ブラシを外します。下のストッパーより先に外さないと不安定になります。

ストッパーの棒(内部)。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM ストッパーの止めネジ(外面)。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM ストッパーとエンコーダ・ブラシを外した。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

ブラシの下にあるストッパーを外します。鏡筒の外側の二つ並んだネジです。

前玉と後玉・絞りユニットを分離。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM 前玉と後玉・絞りユニットを分離。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

後玉・絞りユニットを引き上げると、前玉のユニットから分離します。写真左が前玉、右が後玉・絞りユニット。このとき、前玉のほうのユニットのリングの位置をずらさないように(はがせるテープで仮止めしておく)、または、位置がわかるようにメモしておくべきです。そうしないと、組立のときに途方に暮れます……。わからなくなったら、前玉のほうの噛み合わせ・動きと、ストッパーの棒のネジ位置から、がんばって探します。この段階では構造が外から見えないので、どう組み合わさっているのか、素人にはイメージできないんですよね。

絞りユニットのフレキ断線。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

絞りユニットから出ているフレキの途中で、右側のパターン数本分がちぎれていました。これが故障原因でしょう。

絞りが最小。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM 絞りを途中まで開く。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM 絞り開放。EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM

絞りは(ほぼ)最小になっていました。ピンセットなどの先でピン(写真、絞りの各スリットの中の丸いところ)の位置をずらすとだんだん絞りが開いていきます。開放まで開きました。ステッピングモータのようなカリカリした感触でした。

絞りユニットを開けて、断線したフレキがどのようにつながっているか確認したいところですが、今回は原因がわかったところまでで終了、組み立てなおしました。

カメラに取り付けて動作確認。絞り開放設定での撮影はできました。絞りを絞ると一瞬にして開口部が小さくなり、それっきり。Err 99 です。修理していないので当たり前ですね。断線したフレキまわりをどうするか思案しています。絞り開放で固定してしまうか、フレキの断線をバイパスするか……。

使用工具:

  • プラス ドライバー #0
  • プラス ドライバー #00
  • ピンセット
  • 無水アルコール
  • レンズ用のクリーニングペーパー

(注) お約束ですが、レンズを分解して壊れても、何が生じても、私は責任を持ちませんのであしからず。

(2012/6/13)

(2012/6/17 追記)フレキを応急修理しました ☞ Canon EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM レンズの絞りユニット応急修理

金環日蝕 (2012/5/21)

金環日蝕 2012/5/21. annular eclipse
金環日蝕 2012/5/21 7:01~8:29 (埼玉)
ピンホールによる金環食の投影
ピンホールによる金環食の投影 2012/5/21 7:34
金環日蝕の木漏れ日 2012/5/21
金環日蝕の木漏れ日 2012/5/21 7:36

2012/5/21 の金環日蝕は曇りや雨のところがあったようですが、埼玉県北本市では多少の雲があったものの、よく見えました。

一番上は、午前 7:01~8:29 に撮影した写真を比較明合成フリーソフトの SiriusComp で重ね合わせたものです。CANON EOS Kiss Digital N (センサは APS-C サイズ)にマクロレンズ 60 mm(標準ズームは壊れてます…)、太陽用の減光フィルター ND100000、パソコン画面で確認しながら 30 秒のインターバル撮影。日食終了後、Photoshop で並べながら4分間隔を採用しました。太陽の視直径は 0.53°、1分あたり0.25°ほど動くので(360° ÷ 24時間 ÷ 60分 = 0.25 °/分)、太陽1個分ずつ並べるには2~3分以上の間隔が必要です。天文年鑑では5分間隔をおすすめしていますね。

Windows Live ムービー メーカー で .wmv 動画にしたもの:
金環食 2012/5/21 6:59~8:30 (JST) のタイムラプス(コマ撮り)映像 (.wmv)

金環食前の部分食 2012/5/21
金環食前 2012/5/21 6:09~6:56 (埼玉)
金環日蝕の後 2012/5/21
金環日蝕の後 2012/5/21 8:41~10:01

APS-C サイズに60 mmでは、日蝕の全行程は3~4分割になります。金環食前後も撮影しました。欠け始めるころまでは雲が多かった様子がわかります。

ピンホールによる投影はいくつか試しましたが、木漏れ日が一番綺麗でした。見慣れた木陰がだんだん尖って、三日月になり、輪になり、風とともにゆらゆら揺 れて。木は高さがあるので太陽の像が大きく拡大されますし、たくさんの太陽がちりばめられますし。皆既日食では木漏れ日で輪は見えませんから、金環日蝕な らではの体験です。

日食の木漏れ日。木の葉が投影されたもの 2012/5/21
日食の木漏れ日。木の葉が投影されたもの 2012/5/21 7:36
日食の木漏れ日 2012/5/22
日食の木漏れ日 2012/5/22 7:46
日蝕の木漏れ日 2012/5/22
日蝕の木漏れ日 2012/5/22 7:46
日蝕の木漏れ日 2012/5/21
日蝕の木漏れ日 2012/5/21 7:47
日蝕の木漏れ日 2012/5/21
日蝕の木漏れ日 2012/5/21 7:47

木漏れ日のピンホール投影、ふだんも太陽の丸い像が日常的に見えているということになります。ふだんの丸い太陽が輪や三日月になっただけのはずなんですけどね。全く違って感じられます。

ピンホールで日付を投影するのは日食のたびにやっています。その割には上達していませんが、ここにメモ書きを残しておけば次はもう少しうまくできることを期待して。

ピンホール投影の日付原板(16ドットマトリクス、没) ピンホールの日付投影原板

はじめは、A4版に16ドット マトリクスで漢字を書こうとしたのですが、太陽のリングをかなり小さくしないと重なってしまうので没にしました。ピンホールと投影面の距離が20 cmのとき、太陽の直径が約2 mmになるので、上図の ● は約2 mm で描きました。16ドットは、1文字か2文字程度ならいいかもしれません。Excel の枠を正方形にして●を埋めていくとわかりやすいです。図のフォントは JIS X9051 「表示装置用16ドット字形」です。Web で閲覧して写しました。

実際に使った8ドットの文字は自分で適当に作りました。数字4文字なら探すより作ってしまったほうが簡単。自由に使えるビットマップのフォントを探すなら、古いLinuxのX11のBDF形式や、DR-DOSの解説サイトからたどるといいかもしれません。ドットマトリクスのLEDやLCDも参考になります。「●」でデザインしたあと、穴の中心を示す「+」に全置換しておきます。

描いた文字はプリンタでコピー用紙に出力し、黒のラシャ紙に重ねて仮留め、ダンボールの上で画鋲をぶすぶすと刺していきました。

ピンホール投影のためのダンボール箱 ダンボール箱のピンホール面

使ったダンボール箱は、350 × 250 × 210 mm のもので、写真の手前がピンホール面、向こう側の内側のA4コピー用紙が投影面です。フタのところを自分側に向けて、中をのぞき込みます。ピンホールと投影面の距離が250 mm なので、太陽の像の直径はおよそ 250 ÷ 100 = 2.5 mm となります。箱の内側は黒く塗っておいたほうが乱反射せずに像がはっきり見えるはずですが、実物は、黒のスプレーをざっと吹いただけの手抜きです。

もともとは、ダンボールのピンホール面はくりぬいて、黒のラシャ紙のピンホール面にするつもりでした。天気予報が「曇り」だったので、ピンホールは暗すぎて見えないだろうと、ダンボールに開いたピンホールのままで当日に至ってしまいました。さらにもともとはこのダンボール箱に金環食時の高度になるような脚を付けるつもりでした。手持ちでぐらぐらするとうまく投影できないことは経験済みだったのですが、ピンホールは使わない前提で手抜きしました。(案の定、当日後悔しましたけれど)

この箱で投影した太陽が、上から二番目の写真「2012  5.21」です。ダンボールのピンホール穴なので、うまく透過していない穴があります。(やはりラシャ紙などに張り替えるべきだった)

箱を使わずに紙(ラシャ紙など)のピンホールだけで投影するとどうなるかというと、このように

紙に開けたピンホールでの太陽投影

見えなくはありませんが、日なたに投影するので、コントラストが低くて識別困難となります。薄曇りだとほとんど見えません。

ちょっとしたピンホールなら、テレホンカードや図書カードのパンチ穴が綺麗な円形で持ち運びが楽でおすすめです。パンチ穴がカードの端のほうなので、光が回り込んでちょっと見にくいですね。大きな板で影を作り、プリペイドカードの穴だけ利用するほうがきれいになるはずです。

JR東日本のイオカードのピンホールで太陽を投影 プリペイドカードのピンホールで投影した太陽

さて、ピンホールの太陽投影の計算式をメモしておきます。

ピンホールとスクリーンの距離を(焦点距離に相当するということで) f (mm)、太陽(Helios)の像の直径を H (mm)、太陽の視直径を \theta とすると、
 H = 2 f \tan \frac{\theta}{2}
となります。太陽の視直径はだいたい 0.5(°)、ググると 0.53(°)ですから、
 H \approx 9.25 \times {10}^{-3} f
です。
ピンホールを点とします。太陽側は、ピンホールを頂点、太陽表面を円盤とみなした底面とする巨大な円錐で、頂点は \theta の角度をなしています。スクリーン側は、その巨大な円錐と点対称の位置にある相似の円錐で、高さが f です。実際にはピンホールには大きさがあって、光も直線で進むのではなく回折で広がりますから、上の式よりは大きくなります。ということで近似すると、
 H \approx \frac{f}{100}
考え方が合っているかどうかは知りませんが、あちこちのサイトに距離の 1/100 の大きさになると書いてあったので、結果だけは間違いないと思います。(今回の日食でも、だいたいそれくらいの大きさになっていた)

ピンホールの最適な大きさについては、「金環最終チェック! 安全に楽しむ「日食観察ガイド」を公開」(アストロアーツ)の、「月刊星ナビ 2012年6月号」(p.45)、「日食観察ガイド」に載っています(ちなみに、今回インターネットで閲覧した日食案内の中では、全般にこの記事が秀逸でした)。

それによると、ピンホールの最適な直径を p (mm)、焦点距離を f (mm)、波長を \lambda (mm) とすると、
 p = \sqrt{ 2.44 f \lambda }
ここで波長を可視光の中心付近の 550 nm ( 0.00055 mm ) とすると、
 p = 0.0366 \sqrt{ f }
ただし、この記事の著者の経験では、この式で求めたより少し大きめの穴のほうが見やすい像になるそうです。
下の式はピンホールカメラの解説でも見かける値の式ですね。

これらの式から、上のダンボールの箱で 250 mm の距離の面をピンホールとスクリーンに使うと、太陽の像の直径は  250 / 100 = 2.5 (mm)、ピンホールの直径は  0.0366 \sqrt{ 250 } \approx 0.6 (mm) となります。手元の画鋲のピンが φ1.15 mm なので、紙に軽く開ければ 1 mm 未満になるかなという見込みです。

2.5 mm の太陽では小さくておもしろくないので、もっと大きくする方法はないかと考えるわけですが、それにはピンホールとスクリーンの距離(焦点距離相当)を長くすることです。鏡を使うと隣の建物まで届きますし、日陰に向けて光を反射するのでコントラストが高くなって有利です。鏡面自体の大きさをピンホールとしてもいいですし、反射させた光をピンホールに通してもかまいません。遠くまで届くなら四角い鏡でも太陽の像は丸く(または日蝕の形に)なります。ただし、私は日食のときに鏡を使うのをすっかり忘れていました。鏡は観測場所に置いてあったんですが。

埼玉の天気予報は曇りでした。光が弱いとピンホールの投影は暗くて難しくなります。そこで、ツイッターで紹介されていた方法ですが、老眼鏡を使います。レンズを2つ使えば天体望遠鏡のような構成にできますが、今回は1枚だけです。

老眼鏡 度数+1.0 老眼鏡の焦点距離を確認   老眼鏡レンズの太陽投影機の鏡筒ダンボール 老眼鏡D+1.0投影機 老眼鏡D+1.0太陽投影機 老眼鏡D+1.0投影機の開口部 老眼鏡D+1.0による太陽の投影像(約1cm) 老眼鏡D+1.0による日蝕像

百円ショップで度数+1.0の老眼鏡を買ってきました。メガネの度数Dは焦点距離(m)の逆数です。D+1.0の老眼鏡レンズの焦点距離は1mになっているはずです。前日の朝、太陽で確かめてみました。だいたい1mで丸い太陽が投影されているように感じられました。

雲が厚めになることを想定して、筒を作りました。老眼鏡をねじってレンズを外し、ダンボールでくるみ(写真、手前から二番目の筒)、一回り小さい枠で前後を挟み(写真、一番手前の筒)、70 cm程度の筒を2本(写真、手前から三番目と四番目の四角い筒)重ねて、長さ1 m程度の長い筒を作りました。

先端はラシャ紙で丸い穴で絞りにしました。この丸い穴はちゃんと作っておくべきでした。小さな丸穴から大きな丸穴まで作っておけば、太陽の明るさ(雲の薄さ)に合わせて絞りにできました。こんなレンズでも晴れたときには太陽の像がまぶしくなります。また、ダンボール工作で先端方向に隙間ができていると、光が入り込んでぼやけたり、太陽周辺ががたがたになったりするようです。筒の内側は気休め程度に黒く塗装しました。本来はしっかり黒く塗装して、さらに乱反射防止に輪(遮光板)を付けておきます。

筒の末端に付けた紙には太陽の像が写ります。測ってみると、だいたい直径1 cmになっていました。

1mの筒の先端のピンホール 1mの筒のピンホール像 1mの筒のピンホール像、1cm

当日は幸いにも晴れたので、レンズでなくてもピンホールで見えるだろうと、筒の先端のレンズをピンホールに置き換えたものも試しました。日食も見えて、直径は約1 cmです。レンズに比べてうっすらした太陽の像になります。

今回は PENTAX 8×42 DCF 双眼鏡にバーダー社のアストロソーラー太陽観測専用フィルターを取り付けたもので眺めていました。銀色のピカピカしたフィルムで、A4サイズが2800円。こんなに安くて入手容易なら、もっと早くから使っていればよかったと思いましたね。多少の工作が必要ですが、眼視、双眼鏡、カメラなどが1枚で間に合います。酸化して輝きが薄れてきたり、穴が開いたりしたら交換ですが、使った感じでは、思っていたよりも丈夫そうです。

ベイリービーズが話題になっていましたが、金環食になるときの様子は見逃しました。金環食が終わるときは、双眼鏡にかじりついていましたが、あっという間でした。カメラのリモートスイッチを操作する余裕はありませんでした。

(2012/6/8 公開。2012/5/22-6/8 作文)

(追記)

おそれいりますが、もしも上の本文中の数式(の画像)があるべきところに

(7) Can't run latex program... mathtex.cgi

というエラー表示があったら、何度かページを再読み込みしてみてください。サーバ側に正常にキャッシュができると数式画像として表示されます。

(2013/7/13)