文庫の「発売日」に

複数リツイートされまして、私のツイートにしては珍しいですね。東京創元社さんの公式アカウントの目にとまったようです。その前日なにがあったかといいますと…

ヴォルコシガン シリーズで有名なビジョルドの最新翻訳、五神教シリーズです。

創元推理文庫のファンタジーで、11月21日が「発売日」でした。東京創元社のサイトでは「初版:2012年11月30日」と書いてあったので、月末と思い込んでいました。発売当日に翻訳者の鍛治靖子さんのツイートで知って本屋さん巡りに出かけたのです。

まずは近所の本屋さん、宮脇書店 北本店。ここは創元やハヤカワの文庫新刊もたいてい一冊は入荷するのですが、新刊の棚に見当たらず。時間的にも、売れてしまったのか、まだ入荷していないのか微妙なところです。近くで本の補充をしていた店員さんに聞いてみたら、端末で調べてくれました。たぶん明日の入荷で、上下巻各一冊のみ、予約しますか? と。創元は2~3日遅れることも多いんだそうです。都内で前日に並んだところがあることはリアルタイム検索で知っていたので、他の本屋さんなら置いてるかもしれませんよね?と聞いたら、このへんの本屋さんはどこも同じ日に入荷だろうとのことでした。まだ夕方の早い時間だったので、他も当たってみて、なかったら予約しますので…と店を出ました。中山道を上り、TSUTAYA一階の精文館書店 北本店に行ったら、やはり未入荷でした。このへんでこの2軒になければないでしょう。

同じ埼玉の中山道・JR高崎線沿線でも、大宮・浦和の大書店なら置いているかもしれません。ウェブでの在庫検索に対応している本屋さんでも、発売当日は在庫無しの表示でした。その中でも大宮で一番大きなジュンク堂書店 大宮ロフト店に電話したら、入荷してエレベータ前にありますとのことでした。やはり「発売日」当日にありました。そこでエイヤッと大宮まで自転車で出かけたのでした。ビックカメラ裏の2時間無料駐輪場に駐めて駅周辺の3軒(ジュンク堂、ブックファースト ルミネ大宮店三省堂 大宮店)をまわったら、みんな平積みになっていました。電話で問い合わせたジュンク堂で購入、文庫2冊で2,100円なり。

この状況なら、さいたま新都心や浦和の大きな本屋さんには置いてあるでしょう。しかし、ふつうの本屋さんの入荷状況はどうなのでしょう。そう思いながら大宮で何軒か寄りましたが、創元推理文庫の新刊を置くかどうか微妙なところばかり。買わないのに調べさせるのもどうかなぁと確認はしていません。でも、大宮駅の隣の宮原駅前のブックスページワンには海外文庫コーナーにさりげなく上下一冊ずつ置いてありました。線路際の本屋さんはつぶれて、新しくロータリー脇にできた本屋さんのようです。宮原はさいたま市。さらに高崎線沿い下り、上尾に寄ったら夜になって閉店後、北上尾は品揃えが微妙で蛍の光が流れていました。遅くなったので桶川はパス。

かつて博多に半年ほど住んでいたとき、九州では本や雑誌の発売日が遅れることになっていると知って驚きました。その後、都内の大書店では「発売日」前に並ぶことがある(のが常識)と知ってまたびっくり。今回は、出版社にもよるのでしょうが、都心から電車で40~50分の埼玉でも「発売日」より遅れることがあるということで、国道16号線の外側の田舎とはいえ、盲点でした。しかも私はそれに気づいていなかったのですよね。いまどき、一般の通販では朝に注文しても当日に届いてしまうことがあるのですが(これはこれで、中の人がかわいそう)、出版不況やら書店数の減少やらがささやかれているのに、この状態は大丈夫なんだろうかとも思います。

「影の王国」については次回 ☞ ビジョルド「影の王国」

(2012/11/23)

(追記) 北本で11月27日にながめたら、精文館書店には上下巻一冊ずつ置いてありました。宮脇書店のほうはなかったので、無事に売れたようです。

(2012/11/27)

書泉、十字屋、秋葉原は うつろう

旧聞になりますが、昨年、

というニュースが流れました。

神田神保町の書泉グランデ、書泉ブックマート、秋葉原の書泉ブックタワーは特色のあるユニークな大規模書店で、グランデは理工書・技術書・鉄道書、ブックマートはマンガ・アイドル、ブックタワーはIT書が豊富でした。マニアの書店とでもいいましょうか。

オタクの店、アニメイトの傘下になっても大丈夫だろうと楽観していたのですが……

書泉 グランデ (2011/10/07)

5階の自然科学・工学・コンピュータは都内でも有数の良書揃いでしたが、全滅。3階のビジネス書の新刊の棚は眺めるのが楽しかったのですが、これも全滅。私にとっては神保町の魅力が3割減というくらいのショックでした。

書泉ブックマート (2011/10/07)

グランデのフロアはブックマートから移ってきたのですね。

書泉ブックタワー (2012/03/07)

秋葉原のブックタワーは2階がコンピュータ書、3階が電気・電子書等で、棚を眺めるだけでも技術動向がうかがえるものでした。土地柄、これらは残るだろうと思っていたら。2フロア分が0.5フロアに圧縮されていました。CQ出版コーナーが残っているとはいえ、これではごく普通の本屋さんの品揃えです。上の方のフロアはコミック・ラノベなどが増床されていて、すっかり今時の秋葉原の本屋さんですね。

2012年2月末にはエルピーダメモリが破綻・会社更生法申請のニュースが流れていましたが、書泉グループの理工書・技術書撤去も同じような時期にあったわけです。本を買って勉強する必要はもうないよ、勉強しなくていいからアニメ・コミック・ラノベを読んどけ、と言われているように思えてしまいます。(おそらくは、技術書・理工書の内容を本屋で手にとって吟味するより、web や SNS、Amazon の口コミを頼りにオンラインで選んで購入するようになっているのでしょう)

物作りの入り口というと模型がありますが、秋葉原の模型屋さんがまたひとつ閉店します。

十字屋 (2012/03/07)

平成24年3月20日をもちまして、株式会社十字屋を廃業致します  (水曜定休)

飛行機などが多い模型屋さんでした。

十字屋が入っている内田ビルは模型関係のお店が集まっています。3階のIMONは鉄道模型店、4階は模型の十字屋と、ロボットのヴィストン、5階のグリーンマックスは鉄道模型のキットです。ラジオデパートと石丸本店の間のメイドさんがたくさん立っている角のビルですね。ビルの写真はJR総武線の高架下から撮影しています。

秋葉原は時代に合わせて移ろっていく街です。私が初めて足を踏み入れたころは家電、半導体や電子工作やオーディオや無線の街でした。マイコンからパソコンの街になり、ゲームやアニメ、同人誌、フィギュアの街へと変わってきました。その代表的なビルがひとつ、取り壊されました。

ラジオ会館 (2012/03/07)

ありし日のラジオ会館 (2011/07/11)

感傷にひたるのはこれくらいにしておきましょう 🙂

(2012/3/10)