誤認逮捕とPC遠隔操作事件 (3)

その1(誤認逮捕とPC遠隔操作事件 | マキシマ文庫)、その2(誤認逮捕とPC遠隔操作事件 (2) | マキシマ文庫)に引き続き、その3です。片山祐輔被告が、すべて自分がやりましたと裁判で認めました。

結果的には警察・検察の見立てどおり、片山氏の犯行だったことになります。しかし、その過程では、誤認逮捕を繰り返して無実の容疑者複数に自白させ、片山氏逮捕前後に捜査情報をマスコミにリーク(誤報といえるもの多々)し、裁判前に片山氏を長期間拘束し続けて保釈せず家族と面会禁止にし、弁護側が取調べ可視化で協力するというのも拒否し、等々、「中世司法」が目立つ事件でした。こういうことは、冤罪であろうとなかろうと、やっていいことではありません。

さて、その1とその2のあとの経緯を時系列で列挙しておきます。

2014/5/16 公判中 (11:37) に自称真犯人からのメールが落合洋司弁護士等に届く

江川紹子氏がメールを取り寄せて、片山氏に見せる

会見

2014/5/17 メールの解析

2014/5/19 スマホを埋めて自ら送信かと報道。捜査員が片山氏の行動を確認していた。スマホのDNAと送信記録・通信記録で片山氏が諦める。

2014/5/20 片山氏が自ら犯人と認め、保釈取消。片山氏は自殺を図るが、佐藤弁護士に説得される。

2014/5/22 公判で容疑を認める

おそらくは、このあと、ウィルス作成罪での再捜査、実質的な裁判のやり直し(弁護方針転換)があるものと思われます。

陰謀論的には、片山氏の失踪中に警察・検察上層部と取引があったのではないか(→ Twitter / aruma_zirou: 片山被告は行方不明になっている時間に警察と取引して犯人になっ …、→ Twitter / aruma_zirou: 実際、冤罪事件の被害者を外郭団体に囲い込んで余計なこと言わな … )という妄想もできるようです。私は、自殺と見せかけて暗殺という妄想もしたのですが、これについては、万一真犯人が後で現れると取り返しがつかないのでないだろうという観測のほうが多かったようです。

思い返せば、この事件のはじめのころは興味を持っていませんでした。誤認逮捕が相次いで警察の捜査が酷いと思い始めました。片山容疑者が逮捕され、(報道に反して)証拠らしい証拠がないままに拘束され続け、そんな見込みだけの状況で犯人に仕立てられてしまうことに恐怖を覚えました。ごく普通のレベルの技術者が犯人にされてしまう怖さです。佐藤弁護士の行動や江川氏の記事などで、警察や検察の力の使い方や行動が理にかなっていないことが明らかにされたのも憤りの一因です。その後やっと保釈されて会見に臨んだ片山氏を映像で見た印象は、とらえどころのない、変わった感じで、にこやかにボーっとしていても頭は回転しているらしい、スケープゴードにされそうな人でした。端的に、キモい、と表現した人もいましたが(パソコン遠隔操作事件、その後の雑感: 極東ブログ)、そういう表現が出てくることはわかります。それで、ますます冤罪を疑うようになったのでした。記憶というものは思い出すたびに再構成されていきますし、まだ私自身の感情がつかみきれない状態なので、当時どう感じたかに確証はありません。片山氏は自称ではサイコパス、また、解離性障害と診断されたこともあるようなので、一般的な常識で推し量るのは難しかったのかもしれません。

いずれにせよ、警察、検察、裁判所のやりようは改善してほしいものであります。

この事件にかぎらず一般に、マスコミの報道のありかたにも疑問を感じることが多く、詳細や別解釈を伝えてくれるネットメディアや個人はありがたい存在です。

(2014/5/26)

(追記)

(2014/5/29)

(追記)

(2014/6/7)

(追記)

(2014/6/23)

(追記)

7月8日の報道各社のニュースによると、一連の事件は「捜査終結」とのこと。埋めた携帯からの5月16日の脅迫メールは被害届も出ておらず、捜査書類が東京地検に送付されたが不起訴になる見通し。

(2014/7/9)

(追記)

(2014/7/9)

(追記)

(2014/7/11)

(追記)

(2014/7/19)

(追記)

(2014/7/31)

(追記)

(2014/8/19)

(追記)

(2014/11/01)

(追記)

(2014/11/6)

(追記)

東京地裁、懲役8年の判決

江川紹子氏の一連のツイートより:

(2015/2/5)

(追記)

判決が確定しました。私は、懲役8年は重すぎるように感じています。この事件を大騒ぎにしたのは警察や検察の方だろうと思うのですよね。

(2015/2/19)

誤認逮捕とPC遠隔操作事件 (2)

誤認逮捕とPC遠隔操作事件(2013/3/4) からのつづき。3月以来、江川紹子氏の記事を中心に追記してきました。よしんば片山祐輔被告が真犯人だったとしても、有罪になる証拠があるように思えませんし、保釈しない根拠があるようにも思えません。中世の司法ですね。

より、おもに佐藤博史弁護士、最後のほうは木谷明弁護士の発言:

  • 片山氏はdocomoショップのトラブルについて2chへ「長文」(1400字)の愚痴の書込みをしたが、1万字を超える「ラストメッセージ」とは比べ物にならない。接見で片山氏は言った「私としてはああいうものを書けるような人になりたい。いま、目指してます。」(18分頃)
  • (29分頃) 片山市のPCが遠隔操作されていないことは立証されたのか? 誤認逮捕の時は遠隔操作されていた。おかしいだろう。検察は、弁護側が具体的に遠隔操作されていたことを主張しろ、と(前回)。
  • 今回、片山氏の主張(書面)。USBでポータブルアプリケーションを使っていた。職場はオンラインストレージで使った。それで感染したのではないか。(書面は受理された) 本人が書いたもので、裁判所に文書作成力をみてもらう目的もある。
  • 次回、10/25 公判前整理手続き(?)
  • (40分頃) ポータブルアプリケーションの質疑。USBメモリは押収されている。感染しているか調べればわかる(と江川さんに言われて気がついている。弁護士さんたち、よくわかってないな…)
  • 検索履歴。片山氏の記憶に無いものもある。ヤマレコは片山さんもアクセスしたことは認めている。横浜の事件?、犯行予告メールで、検索履歴を残したぞ、と言っている。検察官は引っかかった。
  • 裁判所の心証も人間だから出てしまう。はじめは検察の方ばかり向いていたが、弁護人のことを聞くようになってきた。
  • 前回の打ち合わせの終わりに、木谷氏が検察に、拘留も長く続いているから検察で保釈について意見を書いてくれればできるんだからと丁寧に申し入れた。裁判官がまだいるときのこと。それに対して検察官の一人は、検察官請求の証拠に全部同意して片山さんが自白をすればそうしますよと言った。こんなこと冗談にも言うべきことではないし、今の時代にね。まさに人質司法そのものじゃないですか。(51分ころ)
  • それにしても、だらしない裁判所…。保釈すればいいんですよ。(保釈と裁判とは違う裁判官だが)

会見の内容の重要なところのまとめというより、たまたま耳に入ったところを抜き出しているだけなのであしからず。私は司法のことがよくわかっていないので、全体の内容をうまく把握できていません。

それにしても。日本は大地震で暴動も起きないし、犯罪も少ないし、落としたお金も戻ってくるすごい国だなんていいますが、この事件を含め、警察・検察・裁判所のやり方を眺めるに、一度ちょっとでも疑いをかけられたら人生終わりですもんね。終わりは言い過ぎにしても、損失が大きすぎます。

(2013/9/26)

(追記)

(2013/10/26)

(追記)

(2013/12/26)

(追記)

(2014/1/26)

(追記)

(2014/2/11)

(追記)

裁判が始まりました。

(2014/2/13)

(追記)

保釈されたとばかり思ったのですが、なんと、検察が最高裁に特別抗告、高裁に保釈の執行停止を求め、高裁が認めました。今日の保釈はなくなり、最高裁の判断待ちになっています。ひどすぎる。

 

(2014/3/4)

(追記)

翌日になってから検察と裁判所の間で手続きに関するドタバタがあり、

夕方の時点では、保釈になりそうです。

(2014/3/5)

(追記)

保釈後に会見がありました。書き起こしもありますが、やや要約気味に思えます。ニュアンスなど細かい点にも興味があるようなら動画でご覧になることをおすすめします。

(2014/3/6)

(追記)

「… 保釈請求について、最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は、保釈を認めた東京高裁の判断を不服とする検察側の特別抗告を棄却した。7日付の決定。高裁の保釈許可が確定した。片山被告は5日に保釈されている。」

(2014/3/8)

(追記)

(2014/3/11)

(追記)

(2014/3/15)

(追記)

(2014/3/17)

(追記)

(2014/3/19)

(追記)

(2014/3/21)

(追記)

(2014/3/24)

(追記)

(一応、イメージファイルもあるし、専門家もついていたんですね。解析して弁護する十分なリソースがあるのかどうかまではわかりませんが…。バイナリの山を解析して意味を見出すのはかなり大変なことだと思います。)

警察はそれぞれのPCを押収する際に、ハッシュ値の確認などはしていない を問題にしているツイートが目立ちます。警察や検察で改竄し放題です。)

(2014/3/26)

(追記)

(2014/4/30)

(追記)

誤認逮捕とPC遠隔操作事件 (3) | マキシマ文庫 へ続く。

(2014/5/27)

誤認逮捕とPC遠隔操作事件

アメリカの法廷ものドラマを見ていて、手続き的に何が起こっているのか漠然と不可解だったんですよね。さらっと無罪放免されたり、殺人容疑者でもGPS付きで自宅で過ごせたり、いろいろと。

日本の裁判所・検察・警察は、江戸時代の奉行所か?

日本の現実の事件で、いま気になっているといえばこれ。

片山祐輔さん頑張れ! よしんば真犯人だとしても無罪を主張し続けろ、と言いたくなってきます。どんどん冤罪に思えてくるんですよね。

逮捕された日のNHKニュースで猫カフェで片山容疑者を盗撮した映像が流れたり、マスコミ各社の報道ぶりが異常でした。この事件で「自白」した学生を退学に追い込んだくらいでは、警察・検察・マスコミは懲りなかったようです。

Librahack 事件もひどいものでしたが… orz

(2013/3/4)

(追記)

(2013/3/10)

(追記)

(2013/3/13)

(追記)

(2013/3/14)

(追記)

パソコン遠隔操作事件で、東京地検は22日、大阪市のホームページに殺人予告が書き込まれるなどした3事件について、IT関連会社社員・片山祐輔容疑者(30)を偽計業務妨害、威力業務妨害、ハイジャック防止法違反(運航阻害)の罪で東京地裁に起訴した。

(2013/3/22)

(追記)

(2013/3/23)

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(2013/3/27)

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(2013/4/3)

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(2013/4/6)

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(2013/4/13)

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(2013/5/1)

(追記)

(2013/5/22)

(追記)

(2013/5/25)

(追記)

報道各社によると、追送検で捜査終了になったそうです。

推定有罪で、なにがなんでも罪を着せようとしているように感じられます。怖い、怖すぎる。

(2013/6/12)

(追記)

(2013/6/13)

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(2013/6/29)

(追記)

(2013/7/5)

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(2013/7/11)

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(2013/7/13)

(追記)

(2013/8/5)

(追記)

PC遠隔操作事件の「真犯人」は、落合洋司弁護士らに送った「告白メール」、「自殺予告メール」、そして今年元日に送られた「謹賀新年メール」、それに猫の写真を添付した「延長戦メール」の4通のメールの他に、長文のメッセージ(以下「ラストメッセージ」と呼ぶ)を作成している。それは「謹賀新年メール」で添付されたパズルを解くと「先着1名様限定」で入手できる、と書かれていたものだ。そこには、それまで寄せられていた質問に答える形で、犯行についての説明や心境などが綴られている。

(2013/8/10)

(追記)

(2013/8/23)

(追記)

(2013/9/10)

(追記)

PC遠隔操作事件と法律用語については

  1. 主要紙が三者協議を黙殺―PC遠隔操作事件・5か月目の報道検証(上)(楊井 人文) – 個人 – Yahoo!ニュース
  2. 「送検=起訴見込み」という誤謬―PC遠隔操作事件・5か月目の報道検証(中)(楊井 人文) – 個人 – Yahoo!ニュース
  3. 「立件」この不可解なマスコミ用語ーPC遠隔操作事件・5か月目の報道検証(下)(楊井 人文) – 個人 – Yahoo!ニュース

にも様々な問題が提示されています。

それにしても、片山氏が犯人であるという合理的な裏付けはないように思えます。7ヶ月以上、保釈せず、家族との面会も禁止、医者にも診せないなんて、中世か後進国ですよね。怖すぎる。

(2013/9/25)

誤認逮捕とPC遠隔操作事件 (2) | マキシマ文庫 へ続く

(2013/9/26)