あの雲はどこにある

このごろは 気象庁 | レーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻) をはじめとして、天気予報のサイトではリアルタイムの雨雲分布を表示してくれます。しかし、現実に見えている雲がどこの雲なのかなんて意識したことがありませんでした。越谷市の竜巻の翌日、あらためて空を見上げると、積雲のかなた、遠くに積乱雲がありました。積雲という言葉も知らなかったのですが、

積乱雲は、「乱」=「降水(雨・雪)」が示すように、積雲が非常に発達し、その下では雨や雪を降らせるようになったものです。

から、近くにプカプカ浮いているのが積雲、地平線近くが黒くて高くまで突き出している入道雲が積乱雲と判断しました。

2013/9/3 16:15 レーダー・ナウキャスト 関東
気象庁 | レーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻) 2013/9/3

 

2013/9/3 16:22 群馬・栃木の方向の積乱雲
2013/9/3 16:22 群馬・栃木の方向の積乱雲
2013/9/3 16:22 栃木・茨城の方向の積乱雲
2013/9/3 16:22 栃木・茨城の方向の積乱雲
2013/9/3 16:22 茨城の方向の雲
2013/9/3 16:22 茨城の方向の雲(2つの積乱雲の間の積雲)
2013/9/3 16:22 茨城・千葉の方向の積乱雲
2013/9/3 16:22 茨城・千葉の方向の積乱雲

埼玉で眺めていたのですが、レーダー・ナウキャストで赤くなっている方向にそれぞれ積乱雲が見えていて、その手前には雨雲がありません。地図上の赤いところにある雲がそのまま見えているものと考えられます。埼玉のここから、隣県の雨雲の場所まで、だいたい 50 km です。積乱雲のてっぺんまで、地平線から 15° ほど。角度の測り方は、腕を伸ばしてゲンコツ一つで 10° とみなしています。

50km先の15°上空の高さ

積乱雲の高さは、50 [km] × tan 15° ≒ 13 [km] ≒ 10 [km] となります。それぞれの数字については、有効数字は1桁以下で、暗算できる程度の概算とします。tan 15° ≒ 1/4、tan 7° ≒ 1/8 といった具合に、三角関数もリニアで近似 という感じで。

積乱雲の高さを検索すると、積乱雲 – Wikipedia

積乱雲の雲頂高度は高緯度地域で4~10km、日本を含む中緯度地域で5~16km、低緯度地域で6~19km付近に達し、たびたび航空機の航路上の障害物となる。

積乱雲(松江地方気象台)

積乱雲は、雲の底の高さ(雲底高度)が地上付近から2,000mと低く、雲の高さ(雲頂高度)は10,000mを超えることがある、非常に背の高い雲です。

とのことなので、だいたい高さ 10 km という概算で合っているでしょう。

50 km 先の積乱雲が仰角 15° で高さ10 km 前後という数字の組と見た目を覚えておけば、もう少し近い積乱雲でも距離が把握できるかもしれません。もっとも、見上げるような入道雲だと誤差が大きくなりそうですね。ともかく、晴れた日なら 50 km 先の雲でも見えるということは確認できました。星を見るとき、高度 5~10° の低い空を観測することがありますが、いつも雲がかかっているように感じるのも当然だったんですね。

(2013/9/3)

雲の向こうは竜巻

昨日、9月2日14時頃、埼玉県越谷市から千葉県野田市にかけて竜巻が発生しました。わが家をかすめた雨雲の向こうのほうでした。こちら側では気が付かなかったので、なにが起こっていたのか推測してみました。

20130902-1410_digital-typhoon
デジタル台風:リアルタイム気象(雨雲)レーダーGPV画像(Google Maps/グーグルマップ版)」  2013年09月02日 14:10:00 JST、 埼玉県越谷市の周辺 をキャプチャ

時刻は熊谷地方気象台が竜巻注意情報を発表した頃です。雨で赤くなっている(概ね50 mm を超える)のは北隣の春日部市で、越谷市の竜巻のあたりはあまり降っていません。NHK がヘリの中継をしていたときに流れていた地名は、埼玉県越谷市小曽川、砂原、桜井南小学校、北陽中学校、大松、千葉県野田市岩名などの線上です。丸い雨雲(スーパーセル)の南端(または南から東にかけての雨雲の端の方)を竜巻が通過したと思われます。テレビで流れる映像でも、青空のものがありましたし、雨が降っているように見えないところを竜巻が通っていました。

その前後の時間帯を上記サイトでコマ送りすると、13:30 頃にふじみ野市あたりで雨が強くなってきて、13:50頃に大宮の周辺大雨のとき「大雨注意報,洪水注意報,雷注意報」が発表されたようです。14:10 に春日部で大雨(たぶん雷→停電)、14:11に熊谷地方気象台が竜巻注意情報発表(このときには竜巻は発生していたのでは?)。 14:20 には雨の中心は千葉県(野田市)のほうへ。

気象庁 | レーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻) の「竜巻発生確度」では、

20130902-1400_TornadoP_radnowc(14:00)  20130902-1410 _TornadoP_radnowc(14:10)

なぜこんなに細かく見ているのかというと、わが家はこの積乱雲の越谷とは逆側のはずれにあったのです。当時、雨がパラパラと降ったかな、風もごく普通、遠雷があったかなという程度でしたし、窓の外が暗くもなりませんでした。屋外で見上げれば、このスーパーセルを目撃できたのかもしれませんけれど。

ふつうは天候が悪化すると「埼玉県防災情報メール」で注意報・警報・竜巻注意情報が届くのですが、9/2に来たのは、13時50分頃発表の「大雨注意報,洪水注意報,雷注意報」と、14:11の「竜巻注意情報」の2通だけ。前日9/1は風雨が激しくて、警報注意報のメールが4通と竜巻注意情報が4通、続々と届いたのと対照的です。こんな天気で竜巻が起こってしまうのか!? はじめ、埼玉(越谷、春日部)で竜巻と聞いて、また誰かがふざけてるよ…と思っていたくらいです。

今回の個人的な教訓は、

  • 竜巻は積乱雲・雷雨の真下で起こるとは限らない(主観的には、晴れかもしれない)
  • 雷注意報も竜巻注意情報も発表時には手遅れかもしれない
  • 雲は速い(出先で避難は間に合わないかも)

気象庁の情報

(2013/9/3)

追記

詳しい竜巻の経路、雨、風、積乱雲が載っています。おすすめ。上述の私の推測が合っていたところ、間違っていたところもわかります。

(2013/9/4)