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MakisimaDiary20070317 - *上橋菜穂子「守り人・旅人」シリーズ

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上橋菜穂子「守り人・旅人」シリーズ


しばらく前になるが,NHK でアニメ監督の神山健治氏の特集をやっていた. 神山氏は「攻殻機動隊 Stand Alone Complex」シリーズの監督として有名. 現在制作中の作品が「精霊の守り人」ということで,一足先に原作を読んでみた.

一冊を26話にするのはちょっと無謀ではなかろうか. 原作の雰囲気を神山氏や男性脚本家陣がどれだけ表現できるか.

上橋氏はアボリジニを研究する文化人類学者とのことで, その影響かどうか,文体は女性らしさを前面に出してはいない.

第一作目の「精霊の守り人」から最新作で完結編の「天と地の守り人」まで, 「守り人・旅人」シリーズの中心となる国は,新ヨゴ皇国. どこか日本の古代,あるいは中国・朝鮮を感じさせる風俗の地である. 周辺各国は山岳民族,遊牧民族,海洋民族など,世界の縮図のようだ. 全編を通しての主人公は,女用心棒のバルサと新ヨゴ皇国皇太子のチャグム. バルサの物語とチャグムの物語が並行・交差しつつ進んでいく. この世界のファンタジー設定の特徴は, 現実世界と接し交わるナユグというもう一つの世界の存在で, 精霊界とでもいうのだろうか. こちらの現実世界に干渉する力を持っていて, 両方にまたがって生きている人もごくわずかに存在しており, また,呪術師はナユグを見て交流することができる. ナユグは,もっぱら,むっとするような水をたたえた世界として描かれている. その光景は独特の魅力を持っている.


(2007.03.17 librarian)