編集(管理者用) | 差分 | 新規作成 | 一覧 | RSS | FrontPage | 検索 | 更新履歴

MakisimaDiary20091222 - *冬至.夜明けと日の出と薄明.

目次

冬至.夜明けと日の出と薄明.


2009年12月22日午前2時47分(日本時間),冬至. 太陽黄経が270°になる. (天文年鑑2009)

太陽が復活する日. たぶん,もともとは冬至が「正月」で「クリスマス」.

朝起きたのが日の出の前. しばらくして外に出てみたら,木立の向こうに太陽の頭が顔を出し始めていた.

国立天文台 天文情報センター 暦計算室
http://www.nao.ac.jp/koyomi/)

によると さいたまの日の出は 6:48. 実際に太陽が見えるのは,これよりも何分か後のこと.

「日の出」よりも前のすでに明るいときのことをなんと呼ぶんだったか,寝ぼけた頭で考えていた. 日の出の前と日の入りの後の明るい時間はどちらも「薄明」と呼ばれる. 夕方の薄明のころは「日暮れ」だったような気がするが,朝はなんだったか.

「夜明け」という.

日本における定義が国立天文台のサイトに載っている.

国立天文台暦計算室 こよみ用語解説 太陽や月などの運動
http://www.nao.ac.jp/koyomi/faq/glossary.html

より引用すると,

夜明(よあけ)・日暮(ひぐれ)

太陽が昇る前(夜明)または沈んだ後(日暮)の、すぐに暗くはならず明るい状態がしばらく続く状況のことです。 夜明の始まりまたは日暮の終わりは太陽の中心の伏角(高度)が7°21′40″になる時刻と定義しています。

となっている.

日常的な感覚では,夜明けとは太陽が姿をあらわしてくること,日の出のことをいっているような気がする.

専門用語としては,日の出は太陽が地平線に頭を出す時刻のこと. 同じく引用すると,

日の出入り(ひのでいり)
太陽の上辺が視地平線(または水平線)に一致する時刻を、日の出・日の入りの時刻と定義しています。地平大気差を35'8"(大気の影響により地平線(または水平線)が浮き上がって見える)としています。

夜明けや日暮れで太陽の位置が地平線の下, 7°21′40″ になるという中途半端な値になっているのは,江戸時代の名残. だから,この「夜明け」と「日暮れ」の定義は日本限定の定義になる.

昔は,太陽が沈んでいても明るくて日常作業ができる間は,夜ではなく昼間として扱っていた. こういう薄暗い時間帯は「薄明」と呼ぶ. 世界的(天文学的)には明るいほうから,市民薄明,航海薄明,天文薄明で, それぞれ,civil twilight, nautical twilight, astronomical twilight.

国立天文台 > 暦計算室 > 薄明(はくめい)
http://www.nao.ac.jp/koyomi/topics/html/topics1992.html

に解説が載っている. 引用すると,

太陽の伏角[ふかく](水平線と水平線下の太陽の中心とのなす角)が6度以内では,戸外での作業に差し支えない程度の明るさで,一等星が見える(6度,常用薄明または市民薄明). 6度から12度では海で水平線が認められる状態で,多くの星が見えるようになる(12度,航海薄明). それより太陽が低くなると空はほとんど完全に暗くなり,肉眼で6等星まで見え天文観測ができる(18度,天文薄明).

日本の夜明け,日暮れは約7度なので,市民薄明より少し暗いことになる.

「7度21分40秒」になった理由も載っていて,

夜明けは古くは1日の始まりと考えられた.江戸時代,薄明の始まり(夜明け−明六つ),終わり(日暮れ−暮六つ)を昼と夜の境としていたが,一般に使われていた不定時法では季節によって昼と夜の長さが変わった.寛政暦(寛政10年施行−1798)では,京都における春秋分の日の出前(日の入後)の二刻半(一日を100刻に分けた時刻法) − 現在の36分 − を薄明の始まり(または終わり)とした.その時の太陽の伏角は7度21分40秒になる.年表掲載の東京の夜明,日暮は,この寛政暦での定義を用いている.

冬至は昼間の時間が一番短く夜の時間が一番長い日になる. 薄明まで含めて昼間だと思えば,少しは明るい気分になれるというもの.

冬至は一番日の出の時刻が遅く日の入りの時刻が早い日ではない. 時間の長短は一番でも,時刻のほうの一番早い遅いは別の日. ついでにいうと,夏至は一番昼間が長く夜が短い日になる. 春分・秋分は昼間のほうが長い.

定義としては,春分,夏至,秋分,冬至は太陽の位置(黄経)が 0°,90°,180°,270°になる瞬間(で,その時刻を含む日). このあたり,学校で間違って教えられませんでしたか?


追記: 日本語としては,黎明(れいめい)(あかつき)払暁(ふつぎょう),明け方も, 夜明けと似たような意味で使われる.


(2009.12.22)