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MakisimaDiary20080529 - *JISの「解説」部分を読みたい

目次

JISの「解説」部分を読みたい


日本工業規格(JIS)は 日本工業標準調査会 JISC (Japanese Industrial Standards Committee) ( http://www.jisc.go.jp/ ) の「JIS検索」で画面表示で読むことができる. 印刷・ダウンロード不可能なPDFだが, 部分的になら画面表示しておいて画像として取り込めばメモできる (Print Screen キーでコピー,ペイント系画像ソフトに貼付け).

だが,「解説」部分は表示されない. この解説部分に実用上重要な情報が載っていることが多いのだが, 本として入手・閲覧が容易な「JISハンドブック」でもたいていは省略されている. JISC によると 「A.解説については、(財)日本規格協会で発行している規格票に附属しているものであって規格の一部ではないので、閲覧することができません。 入手方法等につきましては、(財)日本規格協会へお問い合わせください」 ( http://www.jisc.go.jp/qa/index.html#A207 ). つまり「解説はJIS規格ではない」から日本規格協会に無断でネットで公開できないということだろう.

さて,どうすればよいのか.

一番安直なのは, 日本規格協会 JSA ( http://www.jsa.or.jp/ ) から, A4サイズで規格ごとの冊子か,PDFをダウンロードで購入してしまうこと. もっとも,ぱらぱら見たい程度で気軽に買える値段ではない. 冊子は超大規模書店なら売っていたりするので,買う前に立ち読みしてみるという手もある. 購入方法の案内 ( http://www.webstore.jsa.or.jp/webstore/Com/html/jp/ShoppingInfo.htm ) によると,都内ならジュンク堂(池袋),八重洲ブックセンターなど.

腰を据えて閲覧したいというときは,どうするか. JISC のサイトのFAQで 「【Q7】JIS○ ○○○○の解説を閲覧したいのですが、どうすればいいのですか。」 ( http://www.jisc.go.jp/qa/index.html#A207 ) によると, 日本規格協会で閲覧させてくれるらしい. そのFAQ( http://www.jsa.or.jp/aboutus/faq.asp )で 「Q. JIS規格票の閲覧、購入方法を教えてください。」によると, 「A. 当協会本部及び各支部においてJIS規格票を閲覧していただけます。」 だそうであるが, 予め「普及事業本部 出版事業部 出版サービス第一課」に電話かFAXで問い合せることになりそうだ. もう1つ,JISC の FAQ 「JISの内容はどこで閲覧できるのですか」( http://www.jisc.go.jp/qa/index.html#A201 ) に, 「経済産業省基準認証ユニット、各経済産業局、沖縄総合事務局経済産業部において閲覧する。」という答えも載っていた. つまり「霞が関」ですか.

JISの解説を含めて,図書館で閲覧,コピーできないものかと思うのだが, なかなか普通の図書館では個別のJIS冊子までは置いていない. 公共図書館をネットで検索してみると,JISハンドブックも置いていない図書館が多いようである.

日本国内の書籍が必ずあるといえば, 国立国会図書館 (http://www.ndl.go.jp/). ただし,規格は基本的に東京本館ではなく関西館に収蔵されているらしい. 知らなかったが,規格以外の論文類も関西館扱い. コピー箇所の指定ができれば,ページ数半分くらいまでならコピーの取り寄せ可能のようだ. とはいえ,そんな簡単にページ指定ができるくらいなら,わざわざ苦労して閲覧方法を調べるまでもない. 関西館に行きやすい人なら,過去の改訂前のものもあるので,便利だろう.

東京都立図書館 ( http://www.library.metro.tokyo.jp/ ) の中央図書館にはJIS規格の冊子が閉架で存在しているようだ. 2008年末まで図書館が改修中なので不便だが,どうやら,閲覧・コピーは可能のようである. 蔵書検索して閲覧可能かどうか調べられる.

この東京都立図書館のJISは,検索結果から推測するに 「JIS全収版」( http://www.webstore.jsa.or.jp/webstore/JIS/html/jp/JisAllList.htm )である. 契約が継続していれば,常に最新版に入れ替えられ(加除され)ているはず. このリストと,図書館の検索結果とを比較するとファイル数が若干違うので, 実際のところどうなっているのかはわからない. 都立図書館の検索は「JIS」ではうまくいかないので,まず「日本工業規格」でヒットしたら, さらに規格のアルファベットを追加して検索,規格番号の頭の数字で指定. 資料詳細のページで,「ページ数等」が「1冊(加除式)」になっていることを確認する. 頭の数字が分冊で何巻にもなっているときには,目的の規格がどれに含まれるかはわからないので,図書館で聞いてみるよりないだろう. 日本規格協会のサイトで値段を見ると,全収版は初期投資に一千万円以上,さらに毎年百万円くらいかかる. 図書館でもなかなか見かけないわけだ.

中央図書館では規格に限らず個人への館外貸し出しはしておらず, 規格の冊子については都内の図書館に対しても貸し出ししていないようだ. 最寄り駅は,東京メトロ日比谷線広尾駅だから,山手線恵比寿駅から一駅. 埼玉県からでは,PDFダウンロードより交通費ののほうが掛かりそう. もっとも,平日は午後9時,それ以外も5:30まで開館しているので,都内に出たついでに寄るのもよいかもしれない.

(2009.09.15 現在,追記):友人が都立中央図書館に電話で聞いたら, JIS は全部そろっているそうである.ISO はないとのこと. (伝聞:MakisimaDiary20090916

google で「JIS 全収」で検索すると, 市川市中央図書館のページに情報があった ( https://opac.city.ichikawa.chiba.jp/ref_html/ref0412.htm ). その「JISの調べ方」よると, 「ちなみに、全ての和文JIS規格を収録した『JIS全収版』(加除式で追録)は 千葉県内の図書館では、千葉市中央図書館にあります。 また近隣では神奈川県立川崎図書館でも所蔵しています。」(2004) だそうだ. 東京都立図書館と書いていないということは,都立中央図書館に存在するのかどうか微妙になってくる. 千葉市立図書館 ( http://www.library.city.chiba.jp/ ) の蔵書検索では存在不明. この蔵書検索システムはあちこちの図書館が採用しているようだが,実に調べにくい.

神奈川県立の図書館 ( http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/ ) で 「科学と産業の情報ライブラリー 神奈川県立川崎図書館」( http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/kawasaki/index.html ) のほうへたどっていくと, 「規格資料類リスト」 ( http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/kawasaki/guide/kikaku_guide.htm ) がある. すごく豊富. 最新版があるかどうかはともかく,JIS その他,様々な規格を所蔵している. JISも全収版がある可能性が高い. この県立川崎図書館は産業の支援をしてくれる図書館ということで有名である. 神奈川在住の友人によると, 近くの公立図書館にない本はこの川崎図書館から貸し出されてくることが多いという.

(2009.09.16 追記) 神奈川県立川崎図書館には JIS は全部あるとのこと (伝聞:MakisimaDiary20090916

「JIS 全収 埼玉」で検索すると見つからない. 埼玉の図書館にはないのかもしれない. (その後,近くの市立図書館で聞いたら,埼玉県立久喜図書館にJISハンドブックならあるとのことだった.2008秋)



ちなみに,なぜwebでこんな検索をし始めたかというと, 履歴書の「JIS規格」という記述に疑問があったからだ. 文房具でよく売っている「JIS」履歴書はB5(B4を二つ折り)が多いのだが, 現在の規格「JIS Z 8303:2008 帳票の設計基準」では, 履歴書は仕上がり寸法で(折って)「A4」なのである. しかも,規格本体には履歴書の様式など規定されていない. JISに決められているのは,各種帳票に共通の様式についての全般的な取り決めに過ぎない. 私の記憶では,いわゆる「JISで決められた履歴書」様式は, 「解説」に例示されているだけで,JIS規格ではない. (履歴書の様式の選び方・書き方については,その後,MakisimaDiary20080622 にハローワークの一般窓口で聞いたことも書いた.)

このあたりの疑問をインターネット上で調べられないものかと思ったのだが,やはり難しいようだ. ネット上では解説部分が読めないので, 履歴書の様式について,皆さん誤解したままで情報を記述しているように思われる. 慣習と規格が食い違っている.

JISの解説はJISハンドブックに載っていないことが多いので, 測定機器メーカの設計開発本部に在籍中は, 「解説が必要だから」という理由でハンドブックではなく冊子を買ってもらっていた. 製品を作るためには手元に原典を置いておいたほうがよいのだが, ちょっと知りたいだけのときはネットで手軽に読みたい. 利権が絡んでくるのだと思うが,解説もインターネット上で無料公開してもらいたいものだ.


このページはいつのまにか google 検索のやり方次第では,情報源である参照先をさしおいて上位に表示されるようになってしまった. 念のため,このページに記載した内容は,librarian の勝手な推測を織り交ぜて,各組織に確認を取らずに書いていることをご留意願いたい. 事実と違う,あるいは不適切だ,もっと情報があるというようなことがあったら,ご連絡をお願いしたい.


(2008.05.29, 2008.06.22 librarian) (2009.09.15 - 09.16 追記)