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MakisimaDiary20090608 - *小薮浩二郎「検証『食品』の闇」

目次

小薮浩二郎「検証『食品』の闇」


比較的最近の知見も多く盛り込まれており,興味深い一冊.

初版は 2008年8月25日. 当時は金欠のピークで――ピークではなく谷底と言うべきか, 本屋の新刊書の棚の前で何度も手に取りつつ買えずじまいだった本. 司法書士数人に破産をすすめられた頃のことである. この「マキシマ文庫」ではずっと自分の蔵書を取りあげてきたが, 借りた本について書くのは初めてとなる.

書名の「食品」に括弧がついているのは,読み進むにつれて感じられてくるのだが, 食品という名前で呼ばれているものにも,実質的には添加物,化学合成物質,正体不明の不純物等があるからである. 原材料表示から, タンパク加水分解物(「食品」)の問題くらいはまだしも推測できるのだが, まさか「デンプン」(「食品」)がこれほどまでに得体の知れない化学物質と化していたとは思わなかった.

私は「粘弾性」という物質の性質を測定する機械に携わっていたが, 知れば知るほど測定や検査というものが気持ち悪く,信頼できなくなっていったものである. 著者は食品の安全性を研究していたそうである. 人々の安全に直結するだけに,さぞ気分悪かったことであろう.

本書でふれられている「疑問」には検証データという裏付けのないもの(=研究されていないもの)も多いのだが, 化学や生物分野のことを多少知っていれば当然抱く「疑問」ばかりである. 食品の情報をわかるように公開し,安全性を確認していくことを 食品に関わる人たちにお願いしたい.

添加物がなくても食品は作れるし,昔は作っていたと著者は言うが, 私の見るところ,生協の売り場で比較的ましな原料表示のもので値段を比較すると少なくとも1.5〜2倍は高い. もっとも,ふつうのスーパーではその選択肢すらない.


(2009.06.08)